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「サクマ式ドロップス」に込めた思いを語ります。
公開日:2021年1月06日
当社の事務所には、サクマ式ドロップスという飴の缶があります。
常に気持ちを奮い立たせようと意図的に置いているのですが、というのも、これを見ると「火垂るの墓」という物語を思い出すからです。
映画「火垂るの墓」
戦時中の食料不足の中、節子という4歳の子供が、14歳のお兄さんと二人暮らしを余儀なくされます。
大人は助けてあげることが出来ず、最終的には節子は栄養失調で亡くなってしまいます。
その子が飴の味と楽しい思い出が忘れられずに、まるでお守りのようにいつも持ち歩いていたのがこの缶です。
缶の中に水を入れて、水が甘いといって飲んだり、おはじきを入れて飴に見立てて遊んだりしている姿は可愛らしく思いました。
しかし、節子が死ぬ間際、意識が朦朧としている状態で、口をもぐもぐしているので、お兄さんが不思議に思い口の中をのぞいてみると、おはじきが入っていたというシーンは可哀想でなりませんでした。
平和の尊さをうたった物語ですが、農家の私にとっては食糧の大切さに意識が動きます。
親戚のおばさんが、一度、2人の世話をするのですが、自分の子供ばかり大事にして、2人には食事を分けてあげようとしませんでした。
そのおばさんも憎たらしいのですが、彼女にも守るべき家族があり、彼女だけを責める訳にはいきません。
日本が平和で豊かな今はいいのですが、もし、食糧不足となるとどんな社会になるか末恐ろしいです。
日本の食糧自給率は、私が守る!
今、我が国の食料自給率は、40パーセントです。
この状態は、もし、何らかの理由で輸入が止まったら、日本人の6割が節子と同じ運命をたどるといっても過言ではないと思います。絶対にそんなことがあってはならない。
「自分が、日本人の食料を守る。」ということで、食料自給率の向上に寄与することを企業理念の一つに挙げています。
しかし、農業ではそんなに儲からないということは始める前から分かっていました。
実際にやってみて、さらにその厳しさが身に沁みました。そこで、経営の安定のためには消費者に理解してもらえるブランド作りが不可欠だと思いました。
それではどうすれば消費者の皆様に喜んでもらえる農産物を育てられるか悩みに悩んだ末、先輩たちはどうやって農業を続けてくれていたのか、すなわち、日本の農業の原点に立ち返ってみようと思いました。
温故知新!先人の知恵から「資源循環型農業」を学ぶ。
日本の伝統的な農業は、資源循環型農業です。昔の農家は、庭先で、鶏を放し飼いにして、豚には残飯を食べさせたり、牛はトラクター代わりに使ったり、家畜の糞を堆肥化して、土づくりに使っていました。
土井農場の特色は、養豚と水田の複合経営です。米収穫後の籾殻やワラは豚の飼料や敷ワラに、養豚からの堆肥は水田の土づくりに、減反部分には飼料用の米と、全てを有効利用することにしました。
すると、「自然の流れに沿うほど美味しいものが出来る。」ことに気づいたのです。
日本の伝統的農業がそうであったように、自然に感謝し、自然環境を守りながら、安全安心で美味しい農産物を消費者の皆様に提供する「資源循環型農業」を目指していくことを、企業理念にしています。